難しい演技論を読むより、単純に演技を楽しみたいというのは分かりますが、演技論が正しければ、より深く楽しめるようになります。
演技初心者でも下記のことが出来てる人はすぐに上達します。
つまり、演技には台本練習以上に必須の能力なのです。
努力しても伸びない人、努力のコツが分からない方は参考にしてみて下さい。
緊張をとる・集中力・想像力の方法が違う
まず躊躇、次に緊張をとる
躊躇、緊張は直接は取ることはできない
緊張していては何も感じず、どんな練習も効果はありません。
緊張の手前には躊躇があり、まず躊躇から取らないと緊張は取れません。
その躊躇には3段階あります。
2. セリフ・演出・解釈・演劇的ルール・イメージから外れないないように “成功しよう” とする躊躇
3. インスピレーションが来た時、”このインスピレーションは正しいのかな?” と一瞬戸惑う躊躇
「1」は「勇気のない躊躇」です。これはアイゼではすぐに取れます。
「2」は「マジメ躊躇」です。普通のメソッド演技法ではリラクゼーションというエクササイズでいきなり緊張解消を目指しますが、” ちゃんと緊張を取ろう” というマジメ躊躇ではリラクゼーションの効果は得られません。
「3」は「頭でっかち・理性的過ぎ」のことで計算しながらの「打算的躊躇」です。
「マジメ躊躇」「打算的躊躇」が段取り演技の原因で、それをやめることです。
演技教師も躊躇を取って「自由にやっていい」とは言います。が、言われて自由にできますか?
ほとんどは少し自由になった程度で “自由” と呼んでいます。その程度の自由では演技はできません。
教師は「自由にやれ」というのでなく、自由になれるように導いていくものだと私は思っています。
マジメ躊躇は解釈やイメージを無視することです。
打算的躊躇はどんなインスピレーションでも受け入れることです。間違っているインスピレーションでも受け入れるのです。
しかし、「無視」も「受け入れる」も分かっていても出来るものではありません。
それをどんな練習をどの順番でどんな心構えでやれば「自由」に導けるかが、アイゼ・アプローチの基本です。
インスピレーション的演技は「衝動的で生の感情の演技」になり、演出・解釈通りの段取り演技とは比較にならないくらい観客の心をゆさぶります。
“天才的演技”とは “インスピレーション的演技” のことなんです。
このように「演技が伸びる人と伸びない人」「天才的演技と段取り演技」との差は、大元は『躊躇の差』なんです。
アイゼの言う緊張とは手が震えることではありません。
成功したいという気持ちが少しでもある “りきみ” のことです。
この “りきみ” を取る練習をしないで台本練習をやってるので演技が伸びないのです。
アイゼでは、「成功しろ。上手にやれ」とは言いません。
逆に『意味のある失敗のしかたのエクササイズ』から始めます。
失敗でいいのですから誰でもできます。
これらの練習だけで大きな躊躇は体験入学1回で取れ、続けていくとより深い躊躇も緊張もしにくくなります。
演技の癖を取る・癖をつけない
癖を取るのは簡単
何年も演技をしてるのに、大きな癖のある人がよく体験入学に来ます。
演技を1年やっていて大きな癖があるなら、その練習方法は間違っています。
演技力を伸ばすより、癖をとる方が簡単だからです。
癖を取れない練習方法は演技理論が間違っているので、それ以上に難しい感情・キャラクターを作るというのは不可能です。
キャラクターを作るなど、まだ持っていない能力を身につけることは難しいですが、邪魔をしている癖を取ることは難しくないのです。
正しい練習をすれば、演技は必ず誰でもできる
理由は、演技はまず交流・感情を出すことで、それは日常生活ですでに出来ているからです。
才能がないと諦める前に練習方法を変えることです。
デビューの頃は下手だったのに今では演技派と言われる芸能人が多数いるのを見ても分かるように、正しい練習をすればある程度の演技は誰でもできるのです。
持って生まれた才能ではありません。
では「ある程度の演技」とはどのレベルか?
コメディーでは笑いが取れ、シリアスでは号泣できるレベルとアイゼでは考えています。
悪い演技例 | ||
大げさな演技 | 小さい演技 | 交流できない |
独りよがり | 頭でっかち | 頭が真っ白 |
何も感じない | 動けない | 固い・重い |
テンポが悪い | 力が入る | 前のめり |
緊張 | 恥ずかしい | 集中できない |
想像力が働かない | 段取り演技 | マンネリ |
棒読み | セリフが 芝居くさい |
セリフが相手に届かない |
意識が 内にこもる |
感情が入らない | アドリブが できない |
台本解釈が表面的 | イメージに縛られる | 台詞を覚えられない |
セリフと動きがバラバラ | キャラクターの作り方が分からない |
アイゼは上記のすべての対処法を持っています。
集中すればいい、緊張をとれば直る、という漠然としたことは言いません。
実際に『癖をとるワークショップ』を過去に開催した時、数時間で取れています。
躊躇と同様、まず癖を取らないと演技は伸びません。
楽しみやすくする
●楽しもうとすると楽しめなくなる
●自由になれるルールの破り方
「楽しめ、自由にやれ」と教師は言いますが、その方法を教えてはくれません。
「無理やり楽しもうと作り笑顔で取り組んだが本当には楽しめなかった」と感じたことはないですか?
『どうすれば楽しめて、自由になれるのか』の法則が分かれば簡単です。
誰でも日常では楽しめているので、楽しめる要素は持っています。
無意識に出来てたのを意識的に分かることが、法則を知るということです。
よく基本練習でゲームをすると聞きますが、ゲームで楽しめても、それはルールが楽しいだけで演技向上にはほぼ関係ありません。
どんな時でも自力で楽しめるようにすることです。
楽しいと自由になり想像力が勝手に沸いてきます。 その時もっと楽しくなります。
200以上のエクササイズ
実はダンス・歌の練習をやっても演技自体は向上しません。それらは表現の練習にはなります。 しかし演技はまず感性を伸ばさないと中身のない表面だけになってしまいます。
演技にダンス・歌が一番必要ならミュージカル俳優は全員が名優ということになります。
なぜ、ダンス・歌の練習をするところが多いのか?
それは感性を教えるのは難しいからです。
アイゼには200以上の集中力・想像力・読解力・交流・殻を破る・癖を取るなど、演技全般のエクササイズがあり、ほとんどが20年間試行錯誤して見つけたオリジナルです。
(もちろんスタシス・メソッド演技法・チェーホフ演技法のエクササイズもやります)
10万人以上の受講データから個別のカリキュラム
20年間でのべ10万人以上の受講者データから、感性・演技の伸ばし方、癖の取り方の法則が分かってきました。
例えば「理性的な人」と「感覚的な人」とでは別のアプローチが必要です。
男女でも差はあります。
男性の多くは強く思われたいので、弱さを出せるようにすれば「心の力み」はなくなり、虚勢でない強さを出せます。
女性は品良くしようとするので、粗暴さを出せるようにすれば殻が破れ、堅苦しくない品の良さ、優しさを出せるようになります。
弱さを出せると強くなり、粗暴さを出せると品が良くなる。逆なんです。
アイゼでは全員が同じエクササイズをやるのでなく、個別のエクササイズをやります。
個々の伸び方・問題点が別だからです。
ディスカッションの時間も多くとり、問題の原因を見つけています。
想像力・集中力のコツ
想像、集中は疲れるものではない
役作りで想像力を駆使していると疲れることはないですか?
それは想像の仕方が間違っているからです。
演技の練習で集中していると疲れたりしませんか?
物事をダラダラやるより集中してやった方が、時間も短く感じ楽しかったことがあると思います。
つまり集中とは楽しいのです。
想像・集中が楽しめないのは無理やりやっているからです。
自然と出来るコツを知れば楽しめます。
想像が一番楽しい
第3ステップ『楽しみやすくする』で書いた、”自力で楽しくする” の基本は一人で想像力を楽しめることです。
演技でもスポーツでも読書でも遊びでも、想像力を刺激されているときが一番楽しいのです。
演技の基本中の基本、想像力・集中力。 アイゼはそこから始めます。
個性的にする
個性的とは気が済むように出来ること
上手にやろうとして演技が小さくなったり、解釈・演出から外れないように枠にはまったりしていては個性的にはなれません。
個性的とは、気が済むように表現することです。
しかし『気が済む』とは、ある意味わがままで周りに迷惑をかけることなので、普段はブレーキをかけていて、『気が済む感覚』が分からない人も多いです。
アイゼでは早い段階で『気が済む感覚』を分かるようにします。
正しい解釈の中途半端な演技より、少々間違っていても気が済む演技の方が魅力的で、その後も伸びます。
心と表現の殻を破る、感情解放する
感情解放は存在感に関係する
上記の『個性的にする』でも殻は破れますが、演技ではそれ以上の深い感情解放が必要です。
感情解放は感情のことだけでなく、”存在感” にも関係します。
感情解放できる心はブレーキも躊躇がなく、それらがあると存在感はくすみます。
アイゼでは下記のロシア式リラクゼーションで感情解放していきます。(『緊張をとる』抜粋)
一般的なアメリカ式のものとは似ていますがまったく別物です。
他に「脳のリラクゼーション」などがあります。
『ロシア式リラクゼーション』 いろんな感情が次々にあふれだす |
脳をのせる・心をのせる
ゾーン(超集中状態)の入り口なら毎回入れる
深いゾーンに入るのは難しいですが、第1ステップ~第7ステップまでやれば、勝手にゾーンの入り口なら毎回入れます。
ゾーンの落とし穴
ゾーンの特徴は時間の感覚がないことと、インスピレーションが起こることです。
しかし興奮状態(力んだ緊張状態)の時も時間の感覚が分からないのでゾーンだと勘違いします。
そしてインスピレーションは雑念と似ています。
二つの違いは、その後に良い意味で広がるかです。
” 早くインスピレーションが欲しい ” と思う気持ちが雑念を呼んでいます。
この気持ちをおさえた先にインスピレーションがあります。
しかし、この”欲しい” 気持ちをおさえるのも心なので直接はできませんが、アイゼではその方法も分かってきました。
演技の練習は辛いものではない
別に楽をしたい訳ではなく、脳が楽しんでいないとマジメになってしまい、感受性は働かないので、常に脳を楽しませるような努力のコツ・クラスの雰囲気にしています。
アイゼ・アプローチのまとめ
『内的なものは直接は操作できない。しかし間接的に誘導はできる』
『楽しいがすべての源』
『想像が一番楽しい』
『楽して無理をしない時に感受性は働く』.
努力のコツ・上達のコツ
才能の多くは性格に影響される
性格は価値観で変わる
価値観は知識で変わる
だから正しい演技の知識を持てば才能は変わり始める
スタシスやメソッド演技の練習をしたら必ず演技が良くなったり、感性が良くなる訳ではありません。
それらの練習を “どのようにやるか” のコツが大事です。
ほとんどは大きな目標を持ち、早く効果が出るようにして失敗しています。
ポジティブよりネガティブの方が成功する
ネガティブの方がいいなんて、びっくりした人もいるでしょう。
ネガティブの効果を知ることです。
特に下記の「ハードルを下げる」「スモール・ステップ」が伸びない大きな原因です。
ハードルを下げる
嘘を受け入れるのが感性のスタートライン
「目標を大きく持て」「成功イメージしろ」「失敗のことを考えるな」などポジティブにハードルを上げることが推奨されてるのを聞きます。
「気持ちが出来てから動け」とも聞きます。嘘のない演技っぽくてカッコいい言葉です。
しかしこれが落とし穴で、 本番では「気持ちが出来てから動け」もいいですが、 練習では「気持ちを作るために動く」ことが大事です。
本番と練習では別の考え方を持つ二段階でやることです。
感性の良い人が何かを想像したとき「なんとなく見える」と言います。
「なんとなく」とは、半分以上は出来ていない ” 嘘 ” ということです。
感性の良い人は、その「なんとなく」という「嘘」を受け入れるので間口が広がり、どんどん想像力が増していきます。
最初から100%出来てる訳ないのですから、スタートはハードルを下げて ” 嘘 ” から始めるのです。
しかしポジティブな人はネガティブな ” 嘘 ” というのを受け入れられず、最初から高いハードルの ” 完璧 ” を求めます。
ハードルを上げると心はりきみます。そのりきみを充実感とはき違えてしまっているのです。
しかし「完璧を求めずハードルを下げる」というのも心なので直接は操作はできません。
アイゼにはハードルを下げるエクササイズがあります。
スモール・ステップ
愚鈍に感じる練習は効果が高い
エクササイズでも台本練習でも簡単なのから始め、時間をかけて小さなステップアップします。
演技経験の浅いうちにシェークスピアなどの偉大な作品をやるのはお勧めしません。
現代の作品で実年齢に近く、深い感情を使わない簡単なところから始めます。
それだけでも十分に演技の深さを実感できます。
エクササイズも少し良くなったレベルでは演技に使うことはしません。
せっかく出来ていたものが台無しになります。
例えばアニマル・エクササイズというのがあります。
動物のマネをしてそれをキャラクターに使う方法です。
10分くらい動きのマネをして演技に使うことがあるようです。
アイゼでは、動かずジッと姿勢だけをマネします。
すると気分が変わってきます。
そこまで待ちます。
それから少し動いて、またジッとマネる。
少しづつ動きを増やし、人間の動きにゆっくり合わせていきます。
そうして数ヵ月かけて作り上げていきます。 これがハイレベルに行くためには近道だからです。
こういう地味な練習が近道だというのは多くの人が知ってはいます。
しかし実際にはビッグ・ステップ、スピード・ステップになっています。
- チンタラしててネガティブに感じる
- 周りの人より先に一段上の練習に入り優越感を感じたい。逆に自分だけ置いてけぼりに感じたくない
- 感じるまで待つ忍耐がない
- 早く売れたいと思う人はエクササイズでも成果を急ぐ
- スモール・ステップにしようとしても小さくする方法が分からない などが理由です。
私は「とにかく急ぐな。すぐに進めるな、大きく進めるな」と言います。
ある生徒が誰よりも急がないでエクササイズをやっていました。
周りからは ” 下手・愚鈍 ” と見えるかもしれません。
しかし最終的にはこの生徒が一番の出来だったのです。
すぐに進めると小さな優越感を得られます。
急がない人は最終的に大きな達成感を得られます。
10分で演技に使おうとすると、役作りはそんなものだと思ってしまい忍耐力がなくなります。
分解して考える
要素に分解すると本質が見えてくる
どのエクササイズも漠然とやるのでなく、クリアーするには何と何の要素が必要か分解し、一つの要素の為だけに特化した小さなエクササイズをやります。
欲張って2つ3つの能力が身につくようにすると、結局なにも身につきません。
とにかくシンプルにした方が効果的です。
二段階で考える
具体的・丁寧は使い方を間違えると毒になる
例えば想像力は『ざっくり想像して、その後に具体的にする』
よく想像力は具体的にしろと言われますが、最初から具体的だと” ちゃんとやらなければ ” と脳が窮屈さを感じ「自分には想像力がない」と思ってしまう原因です。
具体的・丁寧というのは良い意味で使われますが、
『慎重さ→身構え→緊張』になります。
先ほど書いた、本番と練習では別の考え方をするというのもそうですが、二段階でやるのです。
しかし二段階でやるのは時間がかかります。 なので急ぐ人はやろうしません。
まず深めるより広げる
理想形に寄せるとは、感性を無理強いしていること
エクササイズをやっているとインスピレーションがきます。
多くの人は ” そのインスピレーションだけ ” を深めようとして、他のインスピレーションが来ても受け入れません。
しかし伸びる人は他のインスピレーションが来たら、それも受け入れます。
最初の段階は狭い範囲で深めるよりも、浅くても広げる方がいいのです。
一つのインスピレーションに固執するのでなく、来るもの拒まずで全てのインスピレーションを受け入れる ” ざっくりさ”” ゆるさ” が大事です。
そして深めてもそのインスピレーションが正しいとは限らないからです。
まず受け入れて間口を広げ、選択肢を集めてから吟味して深めるのです。
このことは知っていても感覚的には拒否しがちになります。
深めるのは没頭でき快感に感じるのと、せっかく来た最初のインスピレーションを捨てるのがもったいないからです。
まず広げてみて下さい。自由さを感じ、新しい感覚を味わえます。
大げさな演技をできる人が伸びる
リアルな演技を目指す人は大きな表現をする勇気がない
もちろん大げさな演技も失敗ですが、まとまっているが小さい演技をする人は躊躇が強いので成長しにくいのです。
大げさなキャラクターの場合は大きく演じなければなりませんが、小さくまとまっている人にはそれができません。
なのでわざと大げさな演技をたまにさせて躊躇をとるようにしています。
しかし” わざと大げさにする ” はある約束事を守らないと癖の付きやすい危険な練習になってしまいます。
わざと意味のある失敗をさせる
ルールに縛られてる脳を解き放つ
ずっとエクササイズをしていると外れてはいけない枠が生まれ、想像力も感情も窮屈さを感じます。
それをとる為にわざと失敗させます。
しかし『間違った失敗の仕方』もただ悪い癖になるだけなので気を付けなければなりません。
極端な練習メニューに効果がある
分かりやすく正しい練習だけが正しいとは限らない
微妙なバランスをとれるようにする練習メニューも大事ですが、バランスの練習は仕上げ段階にするものです。
特定の要素の為だけに特化した練習メニューでないと能力の壁は超えられません。
極端な練習、次にバランスの練習。これも二段階でやることです。
しかし特定の要素だけの為とは、他の要素を切り捨てているので間違った練習に感じ、普通の練習に戻してしまい、結果、中途半端な効果で終わりがちです。
具体的な役作りが学べる
感情、想像力を深めるには順番がある
体験入学者のほとんどが、ちゃんと役作りを教わったことは無いと言います。
以前の養成所でやっていた基本訓練が役作りと連動していないということです。
「役作りはどうやるのですか?」→「自分で考えろ!」
「この練習の効果はどんな時に使うのですか?」→「そんなことを気にするからダメなんだ。効果は演技の時に自然とあらわれる」 と言われたそうです。
しかし自然とあらわれることはほとんどないので、基本訓練と演技を意識的に結びつけた練習をしないといけません。
『役の過去を作れ』と教わったという人たちがいました。
その人達は『役の履歴書』に職業や家族構成、好きな色などを書いたそうです。それも必要ですが、頭での理解にしかなりません。
役の過去を自分事に思えるくらい心に落とし込み、役と自分の境界線が無くなるようにするのが役作りです。
アイゼでは、だからと言って「心に落とし込め」と、漠然とした指導法は致しません。
どのエクササイズをやり、どういうとこに気を付けてやり、落とし穴はどこにあるか言います。
感情が動くにも、キャラクターを作るにも、コメディーで笑いをとるにも法則があります。
役作りでいうと、まず内的キャラクター(役の感情・価値観)を作っていき、6割ほど出来てから外的キャラクター(話し方・動き方)を混ぜていきます。
最初から外的を入れると、外的だけに意識が行き、内的なものはほとんど作れないからです。
これも『アイゼ・アプローチ』です。
アイゼの役作りの10ステップ
- セリフの裏に流れる本当の意味を見つける読解力(セリフの表面だけを信じてはいけない)
- 外的なキャラクター(動き・話し方)
- 内的なキャラクター(性格・価値観)
- 役の過去(人は過去に影響されて今がある)
- 役の目的(人は目的のために動く)
- 事件に対しても気持ち (事件が起きると困った気持ちになろうとするが、解決したい気持ちにならないといけない)
- 人間関係(信頼関係・パワーバランス)
- テンポ(丁寧だとテンポは落ち、焦るとテンポは速くなる。悪い演技はまずテンポに現れる)
- テーマに合わす(コメディー、シリアスでは演じ方は違う)
- アドリブが出来るようにする(アドリブが出来ないのは役を掴みきれていない、セリフ・動きを覚えただけの段取り演技)
アイゼでは10分程度のシーンでも、上記の10ステップを数ヵ月かけて準備します。
そんなに時間がかかると2か月で準備する舞台には使えないと言われます。
確かにそうです。
しかし、これくらい細かく役作りをしないと、演技の深さが分からず、1年後も同じレベルの演技で終わります。
舞台経験を重ねて上手くなっても、普通程度に上手い演技です。
普通程度に上手いというのは “慣れ” で上手くなっているレベルで、世の中にたくさんいるレベルです。
アイゼはオーディションで役を勝ち取る、賞を取れるような演技を目指しています。
クラスで役作りができる
クラスでは役のどの要素からアプローチするか理解するまでディスカッションして、個別にエクササイズを提示します。
それを家でもやってもらいたいのですが、間違った方向に行くこともあります。
そうならない為にクラスでも役作りの時間を毎回全員に30分とっています。
そこで良くなれば次のエクササイズの提示をし、悪ければ何が原因で良くないかディスカッションして、演技への疑問・矛盾を無くしていきます。