オーディション対策
オーディションの準備
アイゼでは台本練習と並行して、オーディション対策の練習もしています。
基本的な演技力をつけるのは当然ですが、時間をかけての役作りと、オーディションの短時間での役作りではアプローチが別なのです。
- 常に個性的なキャラクターをストックしておく
・アニマルエクササイズ、得意なキャラクターを作るための時間を毎回時間を取っている - 『一気に複数の感情を高めるエクササイズ』を上手にしておく
・感情もテンションも上がらない冷めている状態では演技はできない
・オーディションは時間がないので、少々は雑でいいので一気に感情を高める
・嬉しい、怒るだけの一つの感情は下手な演技。複数の感情が混じるのが良い演技。日常は複数の感情が混じっているものだから。 - 深い台本の読み取り
・普通は本心を隠そうとするもの。それを表そうとする読み取りは表面上の演技で終わる。
・裏読みしすぎや、奇をてらう読み取りにならないようにする。
『深い(良い)』と『奇をてらう(悪い)』の境目を分かるようにする。 - 多人数でのエチュード審査で、埋もれないようにする
・エチュードで下手な代表例は2つ。
1-頭が真っ白になって動けない。
2-主導権を握った方が楽だから、発信だけして受信しない。
これらのレベルはすぐに抜け出せます。
・常に真面目なエチュードだけでなく、コントのようなエチュードもやっている。
日常はふざけているものです。なのに演技では真面目な解釈になってしまう。真面目な演技が一番つまらない。 - 丁寧にやろうとする気持ちをとるコツ
・丁寧になると小さくなる。感じようとすると感じなくなる。表現しようとするとクサくなる。
・審査員に望まれてるものに寄せようとしない。
審査員は演技力以上に容姿やイメージを見ています。
寄せたところでどうにもなりません。
『合格しようとしないで好きなように演じろ』と言っています。
すると、
「イメージは合わないので本を書き換える。役を書き足す」
「今回は無理だが次回はぜひ」
というケースで役を得るのが実は多いです。
演技力があるからできることです。
外部公演の役作りができる
普通、舞台の準備期間は1~2ヵ月です。しかも自分の役の練習時間だけではありません。
そんなに急いで役作りをすると小手先の演技になり、癖がつきます。
アイゼの練習では外部公演や、他の養成所での課題練習も出来るようにしています。
役作りの相談も受け付けています。
ある生徒がアイゼで初舞台の役作りをして、一番小さな役だったのに一番の評価をもらい、演劇関係の観客から仕事のオファーをもらったりもしています。
1回4時間 月に8回参加できる練習
練習で4時間集中できないと 本番では集中力が続かない
アイゼの練習時間は4時間です。
普段の練習から4時間くらい集中できないと、2時間の舞台本番では集中力が続きません。
入所時は4時間の集中は難しいようですが、自然と4時間持続できるようになります。
演技にはいろんな能力が必要で、4時間でも足らないくらいです。
4時間のうち3時間は全員が基本練習や役作りの時間で、残りの1時間が演技発表の時間です 。
月に8回の成長スピード
基本は週に1回ですが、開講以来20年間、全クラス(現在8回/月)に追加料金無しで出席していいことにしています。
理由はメンバーの成長スピードを上げるためと、いろんなメンバーを見て刺激を受けるためです。
基本の練習日に用事が入った時も別の日に来られます。
月に8回の成長スピードを体感してみて下さい。 (もちろん週に1回でも成長しますよ!)
見てるだけでは演技は良くならない
練習で一日中、仲間の演技を見てるだけで終わることがあると思います。
教師は「見るのも勉強」といいますが、それでは時間割りに工夫がありません。
間違いなく実際に演技をする方が練習になるからです。
見てるだけで勉強になる為にはそれなりの経験が必要で、初心者には難しく、表面上のしぐさをマネする悪い癖になります。
役作りの方法を知らない人が仲間の演技を見ても勉強にはなりませんが、アイゼでは役作りの方法を教えてるので、仲間の演技アプローチを見てても勉強になります。
怒らない指導法 ゆるい雰囲気
怒るとマジメになり演技は伸びない
演技教師は怒るというイメージがあるようです。
私は怒らない方針なので理解できません。
怒られた人は ” ちゃんとやろう ” と理性が生まれるからです。
演技はインスピレーションや感情などの感性が大事で、「理性的」は頭でっかちの悪い状態です。
怒らなくても、どうやって躊躇・癖を取るか、役を作っていくか説明すれば演技は伸びます。
アイゼの練習時間は遊び時間に思えるようなゆるい雰囲気です。
しかし、ダラダラではありません。
ゆるさと集中力が共存してる雰囲気です。
厳しいだけ、ゆるいだけのクラスを作るのは簡単ですが効果はありません。
個人の中身も緩さと集中力。
クラスの中身も緩さと集中力。
頑張っているのに演技が伸びないのは演技理論・練習方法・心身の状態(頑張ってしまっている)・クラスの雰囲気が間違っているからです。
クラスの雰囲気を作るのは教師の担当です。
今のあなたへの評価は間違いかもしれない
以前にいた養成所で ” 下手くそ ” と言われ進級も出来ず、自信を無くした女性がアイゼに入会しました。
私も最初は変わった子だなと思いましたが、すぐに天才だと分かりました。
すごい想像力で、それを信じられるので演技に見えない凄く自然な演技をしたからです。
凄く自然な演技は「何もしていない普段のあなた自身の下手な演技」と気付かれないことがあります。
アイゼ20年の中で5人、同じように凄い子が来ましたが、全員が下手と言われていたそうです。
逆に “上手い” と言われていた人は、器用にそれっぽいだけの演技でした。
特に声優の人に多いです。
何も感じていない段階で声を作っているからです。
最初から声を作ると、本能が働かないので表面上の演技になります。
声を作っていた子に地声でやるように言うと嫌がります。
声優は声を作るものという常識から出られないからです。
しかし伸び悩みが続き、地声でやるようになりました。
最初は養成所の先生に怒られていたそうですが、そのうち本能が動き、感情が出てくるようになりました。
それから声を作るのです。
地声で始める→感情が出てから声を作る。
これも二段階アプローチです。
最初から声を作っている一段階アプローチでは薄っぺらの演技しかできません。
みんなと同じレベルで上手と言われても、それは埋もれている状態です。
不器用な人は、表面上の演技ができないので、正しい練習をすれば深い感情の演技になります。
演技の常識はほとんど嘘
テレビ番組で、プロ演出家が女優の卵に授業をしていて、ある子に「感性が無い」「感情を込めろ」と言っていました。
感性が無い子なんていません。
その時点で感性を使えてない子の感性を使えるようにするのが授業です。
- 集中力しろ
- 想像しろ
- 感じろ
- 楽しめ
- 自由にやれ
- 感情を込めろ
- 緊張するな
- なりきれ
- 本能でやれ
- 具体的にイメージしろ、解釈しろ
- セリフを間違えるな
- 前を向いて話せ
- 大きな声で話せ
- 表現しろ
- 毎回同じ演技をしろ
これらは演技の常識のように言われていますが、全部間違いなんです。
結果的にこうなればいいですが、プロセスを飛ばして最終形を求めるのは俳優を潰す方法と同じです。
なぜ間違いなのか?
- 直接は操作できないものを、直接操作させようとしてる一段階アプローチ(感じろ・なりきれ)
- 理性は感性を殺す(セリフを間違えるな)
- 演劇のルールを最初から求めると心は窮屈さを感じる(前を向いて話せ)
直接操作しようとすると感性は潰されてしまいます。
しかし直接は操作できませんが、間接的に誘導はできます。
それが教師の仕事だと私は思っています。