『ラ・ラ・ランド』台本

77分~の場面

セブとミアが住んでいる部屋にミアが帰ってくる。
ミア、ドアの前。
セブはライブの巡業で誰も家にいないはずなのに、部屋から音楽が聞こえる。
ミア、不思議に思いながらドアを開ける。
そこには手料理をテーブルに運んでるセブがいる。

ミア「!!!!」
セブ「(ミアに気付き、ビックリする)いや、、、サプライズだ! 朝一で出なきゃいけないけど、君に会いたくて」

二人抱き合う

ここから台本練習のスタート

食事をしている二人

セブ「やっぱり家はいいな」
ミア「私もうれしいわ」
セブ「芝居の方は?」
ミア「不安でいっぱい」
セブ「そうなの? どうして?」
ミア「だってお客さんがいるのよ」
セブ「クソくらえだ。反応が気になるか」
ミア「上手く出来るか不安なの。お客さんの前で舞台に立って・・。わかるでしょ?」
セブ「きっと成功する」
ミア「とにかく怖いの」
セブ「観客はラッキーだ。待ちきれない」
ミア「逃げ出したい。・・・明日、早いの?」
セブ「ああ、6時45分。ボイシだ」
ミア「え~、ボイシ!」
セブ「君も来いよ」
ミア「ボイシへ?
セブ「ずっと一緒にいたいって言ってただろ?」
ミア「それって・・できたら最高だけど。ツアーの後は?」
セブ「なんで来ないの?」
ミア「ボイシへ?」
セブ「ああ」
ミア「稽古があるわ」
セブ「稽古はどこででもできる」
ミア「あなたのそばで?」
セブ「まあ、そうだな」
ミア「舞台のセットもあるし、本番は2週間後よ」
セブ「・・そうだな」
ミア「ステキな提案だけど今は・・すごく残念」
セブ「もっと会えるようにしたいな」
ミア「いつ終わるの?」
セブ「終るって何が?」
ミア「ツアーよ、いつ終わるの?」
セブ「今のが終わったら、新しいアルバムを作ってまたツアー。その売り上げでアルバムを作ってまたツアーに出る」
ミア「それじゃ永遠に続いちゃうじゃない」
セブ「それどういう意味だ?」
ミア「あなたはこの先、ずっとあのバンドで演奏を続けるってこと。・・ツアーも」
セブ「君は・・どうすると思ってたんだ?」
ミア「私は・・あまり・・考えてなかったの。あのバンドが・・」
セブ「成功するとは?」
ミア「う~ん、そうは言ってないわ・・。でもツアーはどれくらい? 何か月? 何年とか?」
セブ「ああ、短くはないな。・・次のアルバムを出したら、場合によっては2・3年は回ると思う」
ミア「そんなに・・。あの音楽、好き?」
セブ「どうかな・・それってそんなに大事なこと?」
ミア「夢を諦めようとしてるなら大事なことだと思うわ。そのうえこれから何年もかけて演奏し続けるんだから・・。好きかどうかは大事でしょ」
セブ「君はあの音楽好きか?」
ミア「ええ、好きよ。・・でも、あなたは違うかと思っただけ」
セブ「俺は好きっていうか」
ミア「キースの悪口を言ってた人が何年も一緒にツアーするなんて苦痛じゃないかと思って」
セブ「なんでそんなことを言うんだよ」
ミア「心配になって」
セブ「何が不満なんだよ」
ミア「なにそれ?不満なんて言ってない」
セブ「君が望んだことなのに。今になって反対するのか?」
ミア「どういう意味? 私が望んだって・・」
セブ「入ることを望んだだろ?」
ミア「今のバンドに?」
セブ「バンドに入って定職に就くことをだよ。収入だって安定する」
ミア「そうよ。定職に就くことは望んだ。そうすれば生活も収入も安定して・・。そうすればお店だって」
セブ「だから定職に就いただろ? なんで祝ってくれない?」
ミア「どうしてお店を出さないの?」
セブ「君が誰も来たがらないって言ったんだろ。”チキン・スティック”なんて店、誰も来ないって」
ミア「名前を変えればって言ったの」
セブ「ジャズは流行らない。君も嫌いだろ」
ミア「私は好きになったわ」
セブ「君が喜ぶと思って始めたんだ。どうすればいい? またレストランで『ジングルベル』を弾くのか?」
ミア「誰もそんなこと言ってないでしょ」
セブ「あくせく働いて小銭をためて」
ミア「稼いだお金でお店を始めてほしいのよ。あなたの店に人が来ない訳ないわ。あなたの情熱の結晶よ。人は情熱に心を動かされるの」
セブ「甘いよ。・・もういい、俺たちも大人になろう。俺は定職に就いた。やめる気はない。いきなり文句を言われても困るんだよ。文句なら契約書にサインをする前に言ってくれないか」
ミア「夢を思い出させてあげただけ。あなたが追いかけ、情熱をかけた・・」
セブ「これが夢だ。これこそが夢だ」
ミア「こんなのあなたの夢じゃないわ」
セブ「本当だったら俺なんかには絶対に味わえない成功を味わえたんだ。人の好きな音楽を演奏して・・やっと、やっと人を楽しませることができた」
ミア「いつから人がどう思うかなんて気にするようになったの? どうしてそんなに人に媚びるの?」
セブ「女優の君に何が分かるっていうんだ?」
ミア「(笑う)」

二人、沈黙

セブ「俺を見てると優越感に浸れるから付き合ったんじゃないのか?」
ミア「それ冗談よね」
セブ「いや」

二人、沈黙

セブ「わからない」

オーブンの音
焦げてる料理
出ていくミア
それに気付いているセブ

 

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